自律移動ロボットAMRの特長として「人と一緒に働く協働ロボットであること」「SLAM方式で自律移動ができること」「作業のシステム化ができること」をご紹介します。導入効果としては「作業員の歩行を削減できること」「作業人数を半数以下にできること」「非対面な環境が作れること」をご説明します。AMRと協働する場合の作業の流れもご覧ください。
物流のロボットと聞くと、全ての作業をロボットが行う、というイメージかもしれませんが、AMRはそうではありません。AMRは人と一緒に働く協働ロボット、つまり作業員の一員であるというイメージです。
AMRが行う作業は、ずばり運搬です。台車を押して倉庫内を歩き回るという作業をAMRが担います。アイテムをピックするという作業はAMRにはできないため、作業員が行います。ピックは作業員に、運搬はAMRにと、それぞれの得意な作業を手分けして行うことで最大の効果を発揮します。
AMRにはSLAM方式が採用されており、従来のAGVのように磁気テープ等でルートを決める必要はありません。そのため、既存の設備がそのまま使用できます。
導入時に、まずはAMRを手押ししてピッキングエリアを歩きます。この時、AMRのセンサーとカメラが、床や棚などを障害物として読み取り、読み取ったデータがマッピングアプリに登録されます。その後さらに、そのマップにロケーションや間口の向きなどの情報を登録することで、ピッキングエリアのマップデータが完成します。このマップデータをAMRが持っていることにより、指示されたロケーションがどの位置なのかがわかるため、ピンポイントに移動ができるのです。
移動の際にはレーザーと3Dカメラを使い、マップと照合しながら移動します。人が移動するのと同じように、自動で最短ルートを算出して移動ができますし、人や障害物、段差も検知して回避や減速もできるため、安全性にも優れています。
さらには、AIディープラーニングも搭載されており、使えば使うほど効率的に動くことができます。
AMRにはタブレットとスキャナがついており、WMSなどの上位システムから作業データを取り込むことで、AMR上で作業指示確認と実績照合ができます。紙のリストやハンディターミナルなどが必要ないので、ハンズフリーでの作業が可能です。運搬だけではなく、ピック作業のハンズフリーを実現し、ミスも防いでくれます。
一般的な摘み取りピッキング作業は、多くの現場では、1人の作業員が1オーダー、もしくは複数オーダーに対して、全てのアイテムをピックしていくという流れです。ピックし終わった後は検品場に荷物をおろし、スタート地点まで戻ります。このピッキング方法は、ピックするという作業自体は全体の時間の20%ほどで、実は残りの80%は移動の時間だと言われています。カートを押しながら棚の間を歩いてアイテムを探しまわることは、人によってはいい運動かもしれませんが、長時間の歩行で肉体的な疲労が懸念されます。
AMRと協働する場合は、運搬をAMRに任せられるため、ゾーンピッキングで作業を行います。作業員は自分のゾーンに来たAMRに対してオーダーを処理していきます。自分の担当するゾーン内だけを移動するため、作業の導線が短くなり、歩行距離を削減できるのです。もちろん、検品場からスタート地点までも自律的に移動します。
先ほどの一般的な摘み取りピッキングでは作業時間20%、移動時間80%でしたが、AMRと協働する場合は、作業時間50%、移動時間50%に改善することができます。
移動時間が減ることで、肉体的な疲労から解放され、作業員にとって働きやすい環境を提供することができます。
作業員の移動を省いた分、時間当たりのピック回数を増やすことができるため、当然生産性が向上し、少ない人数でも作業を行うことができます。小物雑貨やアパレル、食品、医薬・医療品、製造部品など、様々な商材のピッキングに適応でき、特に作業員が10人以上いる現場に適しています。
例えば、ピッキング作業を10人で行っている現場であれば、作業員を3人にして、AMRを7台利用します。3名がゾーンに分かれてピッキングを行い、7台のAMRが運搬を担当します。一つのゾーンに2台から3台のAMRがいるようにすると、作業員がAMRを待つ時間もなく、効率よく作業を行うことができます。
実際の導入台数と作業人数に関しては検証の必要がありますが、おおむね作業人数を半数以下にすることができます。
通常のピッキングですと、狭い通路をすれ違ったり、定番商品で渋滞してしまうなど、人と密になる状況が発生してしまいます。しかしAMRの導入によりゾーンピッキングが出来るようになることで、作業中の人との対面や接触を避けることができます。非対面・非接触、密の回避が叫ばれている世の中において、日々の業務に安心できる環境を提供することができます。
はじめにWMSなどの上位システムからAMRにピッキングデータを取り込みます。
現場では、まずはコンテナのバーコードをスキャンしてピッキングデータを紐づけし、作業を開始します。
AMRがオーダー商品のロケーションに止まるので、作業員はタブレットに表示された商品・数量・格納コンテナの指示を確認しながら作業をします。
大画面のタブレットに商品写真を表示させることもできますし、数量や投入間口も大きな文字や色で表示されるので作業指示がわかりやすく、仮に間違った商品をスキャンしてしまっても、音声と画面表示でエラーのアラートが出るためミスを防ぐことができます。
1つのロケーションで作業が完了すると、AMRは次のロケーションに移動します。作業員はAMRについていくのではなく、自分のゾーンに来たAMRに対して作業を行います。
ピッキングが完了すると、検品場に移動します。コンテナを降して作業が完了すると、AMRはスタートポイントに戻ります。そしてまた次のピッキングデータを紐づけて次の作業へと進みます。
AMRを導入しても、基本的な流れがガラリと変わるわけではありません。それにもかかわらず、運搬をAMRに任せてしまうというだけで、大きな現場改善ができるのです。人と一緒に働く協働ロボットは、物流現場の人手不足という悩みを解決してくれるソリューションとして、これからの物流現場ではスタンダードな存在になっていくと予想されます。
自動化、省人化、歩行削減、作業人数削減、非対面な環境作りなど、気になるキーワードがあればぜひAMRをご検討ください。
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