モノづくりや検査についてのSOP(Standard Operation Procedure:標準作業手順)は製品の出来上がりや検査の品質を保証するため、作業手順が詳細に規定されています。同じ作業を実行する場合でも手順が違うだけで異なる結果となることもあります。
品質向上のために設計上の観点、現場での作業上の観点、効率、精度などの要素について最適な手順を記述したものがSOPです。SOPに基づき記述されたとおりに作業が実行されれば問題は発生しませんが、実際に作業する場面においては様々な予期せぬ出来事が発生し、手順通りの作業が実行できず、問題が発生することも残念ながら現実です。
したがってSOP通りに作業を確実に行うためにもう一段階チェックを加えたり、手順自体を間違えないような仕組みを考えることが必要になります。
SOPに基づいた作業を行うための仕組みづくりの一つとして音声システムを利用する方法が有効です。
音声システムを利用することにより決められた手順でしか作業は実行できなくなります。
そればかりか作業の際、手順書やマニュアルを確認する作業すらなくなります。
なぜなら適切な手順のみ、システムから音声指示という形で作業者に伝える仕組みだからです。
間違った作業を実行するためにはよほどの作為(悪意)をもって指示されたやり方に反した作業を行うしかありません。
適切な手順しか聞くことができないため間違おうと思っても間違えられない状況下で作業を行うことができます。
また、単に指示が間違いないだけでなくシステムからの指示に基づき行動した結果を音声にて入力することも可能です。
一連の作業指示と実行結果がすべてシステムのログとして残ります。
このシステムを利用すると作業のトレーサビリティが自動的に管理できてしまうということになります。
従来の紙によるチェックリストは記録には残りますが、いつチェックしたかという時間軸の情報にあいまいな部分が残ります。
タブレットPCなどを利用した場合、履歴を残したいポイントの分だけ入力工数が増えてしまうマイナス面が発生します。 その点、音声システムを利用した場合は作業指示とそのレスポンスを行っている間に詳細作業履歴データが取得できてしまいます。
作業履歴データは単に作業手順を間違いなく行ったというエビデンスとしての利用だけでなく、作業工程の中で誰もが時間がかかってしまう工程を発見することも可能です。
また、スタッフによっての作業時間のばらつきや、通常時との差異を分析することによって作業工程や指示の改善、スタッフの能力変化などを把握することも可能です。
当然のことながらこういったシステムで全ての行動が把握されているということ自体が作業者に対しての管理レベルの向上につながります。
もちろん作業者自体は以前よりも簡単に、間違いのない作業ができるようになるため業務に対するストレスレベルも下がりますので、双方にとってメリットのあるシステムと言えます。
音声システムを利用した作業のメリットは下記のとおりです。
1. 誰でもいつでも決められた手順による作業が実行できる。
2. 手順書やPC画面を確認する必要がないため作業効率が上がる。
3. 視線が対象を注視したまま作業ができるため作業精度が向上し、エラー発生率が低減する。
4. 作業履歴のトレーサビリティが取得できる。
これらの効果は作業現場におけるヒューマンエラー撲滅のための有効なツールとなることは間違いありません。
作業を完全に自動化することが究極の目的であることは間違いありませんが、一部を人手で行う必要がある現時点においては、いかにヒューマンエラーを撲滅し、人手による作業の品質・効率を向上させるかということが重要です。
音声システムは製造工程、検査工程、準備工程など様々な場面で、品質向上・作業効率向上に役立つ仕組み作りとして利用できます。
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