食の安全安心を追及する製造工場で、ミス発生のリスクを
激減
株式会社Mizkan Sanmi 栃木工場
製品1課 主任 大貫薫 氏
社名 | 株式会社MizkanSanmi |
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本社所在地 | 〒328-0007 栃木県栃木市大塚町2436 |
設立年 | 昭和58年 |
従業員数 | 約200名 |
事業内容 | 食酢、つゆ、ぽん酢をはじめとした加工食品、調味料の製造 |
株式会社MizkanSanmi栃木工場(以下「ミツカン栃木工場」)は、全国に9か所あるミツカングループ工場の中で最大の製造拠点であり、食酢、つゆ、ぽん酢をはじめとした加工食品、調味料の製造を行っています。
今回、ミツカン栃木工場に導入した音声認識システムは、既にミツカン栃木工場に導入されている味の素エンジニアリング株式会社(以下「AJEC」)の生産管理システムと連携させるために、シーネットのパートナーであるAJECと共同で導入しました。入荷検品作業に使用頂いており、塩や砂糖、香料など約200種類の原材料が対象となっています。ミスが許されない食品製造工場において、ミス発生のリスクをゼロにし、安全・安心な商品を提供する環境作りをどのように実現したのか、お話をお伺いしました。
ミツカン栃木工場では、原材料の調合ミスを無くす為、バーコードラベルを使った間違い防止システムを運用しており、荷受け→ピッキング→計量→調合までを一貫して管理しています。こうしたデジタルチェックにより、万全な製造体制を構築したつもりでしたが、工程の入口である入荷作業にヒューマンエラーのリスクが潜在していることが分かったのです。
以前の入荷検品作業はベテラン社員が1人で担当していました。というのも、工場に入荷される原材料にはバーコードなどのデジタル処理できるものがない上、入荷リストには社内での略称が使われていたのと、外装がよく似た商品が多数あるため、名称と略称と外装を記憶している必要があり、属人化せざるを得ない作業となっていました。それでも入荷ミスは発生していなかったため、作業方法を問題視してはいませんでした。 ところがある日、メーカー側の些細なミスで入荷予定の原材料と名称も外装もよく似た別の商品が届いてしまい、専任の担当者でさえも識別ができずに誤入荷が発生してしまいました。前述のように入荷検品後、生産管理システム側では、検品時に貼付されるラベルのバーコードを用いて照合を行うため、ラベルが貼られてしまえばそれ以降の作業で原材料間違いに気づくことが困難です。
幸いにも製造中に管理者が間違いに気付き出荷を止めることができましたが、もしもそのまま出荷されていれば大きな事故に繋がっていたかもしれません。たった一度の小さなミスでも、例えばアレルゲン原料などを間違えて調合すれば、お客様へ重篤な健康被害を与えてしまいます。今までミスなく作業できていたもののアナログ作業には限界があるため、ミス発生のリスクをなくし、自信を持って商品提供ができるようにシステムの導入を検討しました。
入荷検品ミスはその後の製造工程に非常に大きな影響を与える、あってはならないミスですので、作業ミス発生のリスクをゼロにできるシステムであることを求めていました。また、作業の属人化を解消し、ミスが許されない重要な作業や難しい作業であってもシステムで支援してあげることによって、誰にでも安心して作業ができるようにしたいと思っていました。
音声認識システム導入の一番の決め手は、柔軟性に優れているという点です。他には画像認識システムが候補にあがり比較しましたが、ミスを防止できることはもちろん、マスタ設定の自由度が高く、商品やパッケージデザインの変更にも簡単かつ素早く対応できたり、チェック項目を自由に設定できたりと、自分達で考えてシステムを運用できる点が音声認識システムの魅力だと感じました。
また、両手両目が自由に使えることで検品対象への集中力が増す上、自動音声が作業をナビゲーションしてくれるため、初めての人でも業務習得の時間がかからず楽に作業ができると判断できました。
音声からのチェック項目に答えていくという簡単な作業ですが、事前に登録したチェック項目と作業者が声で答えた回答がリアルタイムにシステムで照合され、正しければ次の項目に進み、間違えであればその場でエラーが出されます。正しい原材料をチェックした場合だけ入荷検品完了となり、入荷ラベルが発行されます。入荷ラベルを貼付する際も、音声認識システムでラベル名と原材料名の照合がされるため、貼り間違いのミスも発生しません。
さらには食品を扱う上で重要な賞味期限やロット情報の登録も音声入力でできるため、従来では手入力ミスの多かったトレース情報の間違いも無くなりました。
また両手両目が自由に使えることで、チェック項目に答えるという流れの中で製造現場の基本行動の一つである「指差呼称」が自然とできるようになったことも、作業の確実性向上に繋がっています。
以前は熟練者の記憶を頼りに行っていた作業がシステムで判断できるようになったことで、商品知識が少なくても誰でも正確に作業ができるようになり、パートや派遣の方にでもお任せできるようになりました。音声の認識率もよく、日本語、英語、数字がすらすらと入力できます。
教育にかかる時間も短く、手順書がなくてもお手本を見るだけで作業方法が覚えられる程簡単であり、1週間もかからずに習得できます。現場からは、音声認識システムがないと不安だと言われる程、システムのお蔭で安心して作業に取り組んでもらえる環境作りができています。
商品の入れ替えやパッケージデザインの変更にも素早く柔軟に対応できるようにするため、チェック項目を自由に作成できるようにシステムを構築して頂きました。自由に作成できるからこそ、正しい検品をするためにはどのような項目が必要かなど、自分達で考えながらシステムを利用することができています。
また、チェック項目も工夫しており、例えば数量に関しては、総量が同じ100kgでも、10kg入り10本なのか、20kg入り5本なのかでは取り扱いが変わります。ですので、入荷検品時の数量チェックは荷姿×本数で行うようにし、生産管理システム側で総量での正解ありきの確認とならないように、荷姿まで確認できるように工夫しています。また、日付の入力に関しても、原材料に書かれている表記をそのまま読み上げられるように西暦(2桁/4桁)と和暦をマスタで事前に登録し、頭の中で換算する手間を省き間違いがないように自動換算できるようにしました。 このような様々な工夫をシステム構築の段階から話し合い、柔軟に対応できるようにしたことで、作業がし易くなっています。
ミス発生のリスクを激減させることができる音声認識システムでの作業は、”食の安全を守る”食品製造販売メーカーで重要な役割を果たしています。システムを導入したことで、本社の品質保証部門や他の工場の管理者からも、作業品質に高い評価を受けています。音声認識システムの利用で、ミツカングループとして品質の向上や安全の確保がより充実できる体制が作れると考えていますので、現在導入しているミツカン栃木工場の家庭用調味料製造ラインだけでなく、他のラインや他の工場にも展開を進めていく計画を立てています。
今後の展開にあたっても、シーネット社にもAJEC社にも現在と同様に柔軟性を活かして、現場毎の運用に合わせた最適なシステム構築を提案頂き、「食の安全・安心をより一層提供できる現場づくり」に加え「現場従事者も安心して働ける環境づくり」を支えて頂きたいと思っています。
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